草の墓標・浮島
                    
川に浮かぶ繁みに小さな動物が棲みつくようになった 
浮州の草の原には背の高い灌木も繁っている 
雨の少ない乾季に繁ったもので 広さはないが
横には結構な長さがある 今は橋桁にも隣接している

けれど強い雨が降ったり数日降り続けようものなら 
たちまち沈んでしまう浮島である 

小さな動物は昼間は茂みに隠れ 朝になると陽ざしの
あたる橋桁のコンクリに乗っかり 座りこんだりしている

茶色で貌の前と首が白く尻尾が長い 貌もからだも
すべてが細身だ 他の目撃したひとは犬だという 
見掛けるようになってかれこれ一週間以上経っている 

犬だとして水に断絶された草の茂みに長くいられる
ものなんだろうか 
なにを食べている? 
季節は乾季を過ぎ 雨季に向かうところである 
ここ数日雨が降り続き橋桁が水面すれすれになる

水道橋に雨をしのぐ屋根はない 小やみになった朝 
動物は橋桁にもたれるように座っている 
ずぶ濡れのようだが今のところは無事だ 
呼びかけると反応はするが いっかな川を
渡ってくる様子はない 
怯えている警戒している ひとにも
ひと以外のなにかにも

いつまで生きられるか 
もしある日 つめたくなっていたとしたら 
細長い草の浮島ぜんたいが墓標になるだろう


そんなことをパソコンのキーボードで打っていると 
眩暈がしてきた
傷んだ目の奥に小動物の白く長い尾が 
ぼぉー 揺れている  

      



      イタチかテンか?!

庭の手入れをしていると、
目の前の川土手を、
未確認小動物が右から左へ素早く横切って
いった。

あっ! 
おもわず出したわたしの声に、
走りながらこっちを見た(・・ような気が
する)。
つぶらな黒い目だった。
ナンだったろう、イタチかテンか
ミンクか、まさか、、、




それからまた少し日にちが経ったころ、
近所の人が川の方を気にして見ている。

ナニか、 いるんですかぁ?
家の中から問いかけると、川の浮州を
指して、何事か言っている。

その方角を見ると茶色の小動物が灌木の
繁みに見え隠れしているようだった。

近所の人たちは“犬”だという。

数日前にわたしが目撃したあの小動物か?!
どんな経緯で川に入りこみ、浮州に
とどまったのか・・・



犬だとして、どこからどうしてここまで
来たんだろう、
前山あたりで捨てられたかして、
水道橋の底を伝ってこちらへ渡ってきたものか・・・



見掛けるようになって一週間以上経った。
犬だとして、水に断絶された繁みに長く
いられるものだろうか、草以外、
食べるものも無さそうだ。 


季節は乾季を過ぎ、数日の雨で橋桁が
水面すれすれになってきた。
水道橋に雨を凌ぐ屋根はない。

朝、雨戸を開けると犬は橋桁に座り、
こちらに反応して見上げるようになった。


ひそかに「テン」と名付け、土手から、
パンを手にかざし、
「テーン、こっちにおいでー!」
呼びかけてみるが一向に渡ってくる
様子はない。


チーズとかウインナーとか固まり系の
ものを投げてはみるが、浮州までは
見た目より距離がありそうで、
まるで届かない・・・、


ずぶ濡れになってうずくまる小さな姿は、
寂しさのかたまりに見えた。



土砂降りの続く日、近所の方の通報で、
レスキュー隊が赤い車を連ねて来た。

高い水道橋から命綱をつけた隊員が橋桁
に降り、
繁みに逃げ回る動物を網でとらえた。



犬の「テン」は沈みゆく草の原から
引き揚げられた。


怯えて、薄汚れて、骨の浮き出た細い
小さな躯が
ブルブル震えている。

家に駆け戻り、
冷蔵庫にあったハムやパンを
手当たりしだい掴んで取って返し、

「食べ物は与えないでください」
という隊員には構わず、口に差し出して
食べさせた。




その後、引き取り手がなく「テン」は
動物保護センターの車に乗せられていった。


ごめんね、ごめんね!、
テン、助けられなくて!!
 


 ***浮州の灌木の繁みは何度かの
豪雨や台風によりなぎ倒され流されて、
今は無くなっている***




休憩所
ひと休み~~
ゴマ粒ではありません  水鳥で~す

148水鳥の休憩所DSCF0250
148水鳥2DSCF0253

148水鳥3DSCF0248



Secret

TrackBackURL
→http://fuurenka231.blog.fc2.com/tb.php/165-569b95b2