2015.02.10 還る 海
  還る 海


ごくたまに
海辺の家に行く 

部屋の窓を開けると
そこに見えるはずの海が見えない
建築物が建ちかけて
景色をふさいでいる

久々に入った娘の部屋の窓には
洗濯物も干されていて・・・
(いつから干したままなんだろう)

他の部屋に移り 窓を開ける
遙か 海が見える
冬季の濃い海の色が遠景になって拡がる

朝は遠く地平線に拡がり
午(ひる)を過ぎたころから すこしずつ
砂浜を侵食し せりだしせりだして
すぐ軒下まで水が届いてきて
ひたひた ひたひた
白い小波すら見せて
ひたひたひたひた  揺れる家




娘たちもすでに嫁ぎ
今は山裾の川辺の家に棲み暮らしているのに
(住んだこともない)海に近いその家が
ただ   懐かしい



生まれた町はむかし一面 海だったという
七里の渡し場があり まわり町の名は
波寄 三本松 伝馬 浮島 築地 港栄
入船 清船 富船 福船 玉船 金船 新船




満ちては牽き 牽いては満ち
原初の海にはぐくまれた いのち

砂浜を歩き 朽ちた船のまわりを歩き
満ち足りた海を抱いて


今住む地に 戻ってくる




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