むらさき桔梗    



無明の戸をあけて ひとがたずねてきた 


時節のあと 供養らしい供養はしたことはないが
時折り あの顔この顔が車座になって並ぶことがある 
しゅくしゅくとひとがはいってくる 
白い足裏を見せて黒衣が座る 
おだやかな懐かしい空気だが どこからも声はない


鳴らないはずの携帯がかすかに鳴りひびく 
名を呼ばれたような気がする
遠く雷鳴がひびき 空が点滅しはじめた


梅雨時の庭に桔梗が一輪二輪 凛と咲いている 
墓はたてない 骨は花の咲く下に 
土の中に還りたい 
先に逝ったひともこれから逝くものも 


山の風が川を渡り 水が西方へながれていく 
むらさきの花の横を通って
ひとり また ひとり
薄い影を曳き うしろすがたが去っていく


川風が吹き 雷鳴が近付いてきたようだ
戸がまた 鳴っている

 


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