八月―盆の子守唄

 

 

 

おどま盆ぎり盆ぎり 盆から先きゃおらんと

  盆が早よくりゃ早よもどる 

 

       *

     

子守うたには 盆の詞がおおい

たいてい哀切な悲惨な(わけ)が込められている

 

由来やわけは さて置いて

こころに響くららばいであればそれでよい

そう おもいながら

 

なぜ  なぜに

この国の どこかの村で

いたいけな年ごろのわが子を 追うように

捨てるように余所へ出すのか

 

それほど むかしのことではない

今もどこかで 親が子を子が親を

悲惨な無惨なものがたりは ある

 

  なぜ 捨てる子を  なぜに 産んだ?

・・・ まっすぐな素朴な疑問符  

 

の声は じだいの錯綜にいつも消し去られ

届きはしない

 

*      

 

ただ楽しいだけではなかった子育てのころ

泣く子を背に

べらんだや扉の外を ゆきつもどりつ

くちずさんだ 子守うた

 

      

守もいやがる 盆から先にや

  雪も散らつくし 子も泣くし 

 

 

子らに聴かせるレコードに交じり

たった一度 たった一枚

じぶんのために求めた 小さな小さなレコード

哀切な調べと 透き通るような声

水に映った波紋が あわあわ あわ・・・  

胸のうちに ひろがっていって沁みこんでいくような

そんな子守唄

くりかえしくりかえし 聴いて暮らしてきた

 

過ぎた日のなつかしい子守唄

だれにも胸ふかくに ひっそり沈んでいるのではなかろうか

 

村では 盆過ぎるころにはじき寒さがやってきて

雪さえ散らつき

ちいさな手足は凍えて 背の赤子は泣くばかり 

 

まずしいじだいの親の家から出された子守りの子は

背中の赤子をゆすりながら泣きながら うたう

 

  

      *

 

盆がきたとて なにうれしかろ

  帷子はなし 帯はなし

 

 

  はよもゆきたや この在所越えて

  むこうに見えるは 親のうち   

 

     

***文中挿入歌

五木の子守唄・竹田の子守唄 


  
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