2013.10.11 追憶の秋

 

             秋バテ

 

 十月だというのに、30度超えの暑さ。

昼間は汗みずく。掃除機かけていると、汗が床に飛び散って、

ノズルがそれ吸い込んで、ジュワー、シュー!

めげずに汗ポタ、ジュワー、シュー!・・・。

 

 

前述の作家・藤沢周氏 言われるところの、

“秋になると、季節性うつ病につかまる 甘美なる地獄。

 深刻な憂悶。”

は、ふたたび  「暑い、暑い」と文句たれる・・・ことに

なっている。

 

 そうして暑い夏、いや、秋が過ぎてゆくのであります。

 

 

 

        ただ 穏やかに

 

 ホームの母は、大抵ディルームのいつもの席にちょこんと

丸まっている。膝を揃えて、目を閉じて、半分睡っているような

気配で。

 

 横に座っている娘に気が付くと、ニコッと笑って、また

元の姿勢に戻る。以前の口癖だった「もう、お帰り! 送ってくから」

の言葉はない。

緑内障も進み耳も遠くなった母の隣りでただ寄り添ってしばらくを

過ごすと辞してくる。

 エレベーターのところまで、押し車をひいて見送ってくれることも

あるが、ひとりで元の場処まで戻れない時もあるらしい。

 

 少しでも動いてもらって変化の刺激を持ってほしい、という希いと

スタッフに負担をかけてしまうということとの兼ね合いに迷う。

 

 こうして母の老いは少しずつ深まって、けれど、前にも書いたこと

だが、緩やかな穏やかな深まり具合なのである。

 

 

 

           仁王門通り

 

 母に会って、せつない気分でとぼとぼ帰るのだが、

気を取り直し、途中下車して、懐かしい古い町に寄り道する。

 

 東仁王門通りを進んでいって、あんかけパスタの店を見つけた。

そこでお昼と夕飯兼用のパスタを。380円也。

 先週 テレビ「おじゃマップ」で香取くん、草薙くん、上戸彩さん

が入ったお店である。

 

これまであちこちの“あんかけパスタ”を食べてきたけれど、どこも

いまいちだった。

そこは値段も破格、お世辞にも奇麗で立派には見受けられなかった

けど(失礼!スミマセン)、ここのパスタ、

わたしの“お気に入り殿堂入り”!笑

 

 ほんとはパスタを食べに寄り道をしたんじゃなくて、中学の同級生

のラーメン店に行くつもりだったのだ。けど休日なのか、遅い開店

なのか不明なまま(午後5時半~6時過ぎてた)開きそうにないので

Uターンしてパスタに辿りついたのだった。

 

     

 

 

           創作

追憶の 町

 

 

      

はらはら、… 追憶も散ってしまわないうちに、書き留めて

おこうと思う。        

 

        ☆

 

中学の同級生、イッ君のお父さんは、組長親分の兄で、

敷地の隣りで工務店を営んでいた。

高い所から落ちて亡くなって、その後、イッ君が跡を継ぐ

かたちで同業をつづけている。

 

 親分の弟は、別の所に住んで、商店街の縄張り内のパチンコ屋を

経営していた。わたしとイッ君はいわば、“虎の威”を借りて、

中学高校の分際でその辺のお店やパチンコ屋に出入りしていたわけだ。

 当時、パチンコの玉を弾くだけの単純な(と思えた)ゲームは

すぐ飽きてしまい、じぶんには不向きだと悟っている。

 

 

 

 親分には、サヨちゃんという娘がいた。わたしとサヨちゃんは

同い年であり、イッ君と三人、同級生であった。

 

 サヨちゃんとは小学校くらいまでは仲がよくて、家にも

遊びに行った。

 

 昼間、庭で遊んでいると、窓の向こう、風呂に入っていた

親分が 「うるさいから、あっちで遊んどいで」と言っている

と、若い衆が伝えに来た。

 

 サヨちゃんが言うには、 

「うちのおとうさんね、首まわすと、コキン、コキン、って、

音がするんだよ、」

 (へぇ、親分の仕事も案外 楽じゃないんだ・・・、)

そう 思ったような。

 

 

 親分の家には、サヨちゃんのお母さんじゃない奥さんがいた。

派手めの目ぱっちり! 「女優さん」みたいな。

 

小さな坊やもいた。母親ゆずりらしい大きな目、透きとおる

ような色白の肌、茶色の髪をした可愛いらしい坊やだった。

 

サヨちゃんには異母弟にあたるその子を、わたしもさサヨちゃんも

可愛がって、よく一緒に遊んでやった。

 

 

やがて、私学の中学に行ったサヨちゃんとは、しだいに会うこと

も少なくなり疎遠になっていった。

 

いつ頃だったか、通りかかった時、敷地の前の縁台で、若い衆と

ふざけあっている彼女をを見掛けたこともあった。

早くも“姐さん”姿が板についてきた・・・ようにも見えた。

 

 

 さらに歳月は茫々 過ぎていった。

 

 

サヨちゃんはい若い衆の筆頭と一緒になった様子であったが、

後年になって、デパート内にある服飾テナントの店で働く姿と

出遭ったことがある。こころなし目をそらした相手に、声を掛け

そびれ、そっと通り過ぎてきた。

 

 

長じて跡取りとして育ったであろう、可愛らしかった弟のほう

は、ヤクザ社会に馴染めず、賭場や抗争などのなかで心を病んで

しまった・・・と、

後に イッ君から聞いた。

 

 

 

 

親分が亡くなり、 その後、○○組一家は、消滅した。      

 

         ☆

 

時代の波に吞まれるように、商店街は寂れてシャッター通りとなった。

 

           ☆ 

        

   了

      *上記作品はフィクションです。

 

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