旅の”跡”

    欲張り!な旅

 

これまで姉の絵の展示や個展で、東京・上野や銀座へ数回

出掛けている。

 

 最初は上野の森へ

夫と次女と三人で日帰りの旅を兼ねて。

 

 朝早く発って、浅草・雷門を見上げた。休日のいつもなら

朝ご飯の時間である。せっかく、はるばる“おのぼりさん”

するなら貪欲にあちこち回ろう・・・、わたしも若かったし

娘も張り切っている。欲張りな旅に夫を巻き込んで、イザ!

 

 浅草―新橋―ゆりかもめに乗ってお台場・フジテレビのビル内

見学―原宿・竹下通り・明治神宮―有楽町・銀座・・・、

 上野の森美術館に展示されている姉の絵を見に、これだけ

あちこち見て回ったのだ。元気な母娘に連れ回されて、夫は

くたびれはて、拠点の新橋駅の地下でついにしゃがみこんで

しまった。

 

 

***今更だけど、おとうさん、あの節はあちこち付き合わせて

しまって、ほんとに、 ゴメンナサイ・・・です!

 銀座の「ルノアール」で飲んだ珈琲、値段には吃驚したけど、

おっ、 美味い!!   ・・・って喜んでたね!

     

 

 

 

想定外!の旅

 

 つぎの機会の銀座画廊での個展では、応援にひとりで出掛けた。

 

 その時もわたしはまだ多少若く、活力があった。

 朝早い「ひかり」に乗り込み、車中で東京の地図を広げ、

一日の予定を立てた。

 

 電車を乗り継ぎ、紅葉真っ盛りの時季の広い新宿御苑を

散策したあと、皇居へ。

外周を歩いて回ってるうちに時間が足りなくなって、

銀座に向かうべく、途中から走りだす羽目に。

折から、皇居外周マラソン大会のたすき掛けのランナー達に

交じり、バッグ片手にヒール履いて走りに走ったのである。

 

 

 

    

 感傷(センチメンタル) 旅行(ジャーニー)

 

 そして数年後、再びの銀座画廊での姉の個展に。

 

 新幹線に乗るのは数年振りである。

 

 久々の上京には長女が仕事を休んで同行してくれるという。

友人曰く 「やさしい娘さんがいて、いいわねぇ」

実は費用はぜ~んぶ、こっち持ち! なんです。

 

夕方までに個展会場へ着けばいいということで、

新幹線のなかで地図を広げた。

 

 ・・・何処がいいかな、吉祥寺はどう? と、娘。

 老いては子に従え。異存はなく、後ろに付いて乗り換えていく。

広大な井の頭公園の端まで歩いていくと、玉川上水に行きあたった。

 

えっ!  玉川上水?

 

  

偶然、思ってもいなかった場処に辿り着き、いろいろな想い

が交錯した。十代のころ、太宰治の文学に傾倒していた。

「人間失格」の作家が入水自殺したという川原の情景を、さまざま

に想像し描いたりもした。

 

 目の前の玉川は、柵で囲ってあり土手の下の水がちょろちょろ、

流れているばかりである。

近くに居た年嵩の男性は、私の問いかけに丁寧に答えてくださった。

「そうです、その玉川上水ですよ。

もう少し上流でしたがね。昔はもっと流れが速かったんです・・・」

 

 

感慨を胸に抱き玉川を後にし、三鷹駅まで歩く。そういえば、

その辺りの「三鷹」も「小金井」も太宰の本でよく馴染んだ地名

である。

 

 

おもいがけず、感傷旅行になった次の行き先は、六本木ヒルズ。

ビル群のなかでもひと際、斬新な建物が目を引く。

 
へぇ、これがヒルズかぁ~! おのぼりさんのごとく、しばし

前の広場に立ち尽くして見上げる。

 

ビル内は、さほど広くもなく窓もなく、外を見下ろすことも

できない。随所、取り澄ました印象でもある。オフィスのフロア

辺り、行き交うビジネスマン・ウーマン達が颯爽とエリート然に

見えてきたのは、気のせいか。

 

 

 

わたし達がそこを離れて、銀座ギャラリーでオープニング・パーティ

のワインを飲みだしているころ、六本木ヒルズは騒然の場と化していた。

 

 ビル内の「ライブドア」に東京地検特捜部の家宅捜索の手が入った

のである。

 

 わたしが見上げていた広場やビルの玄関口は、地検の捜索班や

報道陣、やじ馬でごった返しの騒動となった。

 

数年前の 一月十六日・月曜日のことである。

 

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